syrup16g Hurt リリース記念ツアー『再発』 @大阪なんばHatch

セットリスト

1.Share the light
2.神のカルマ
3.stop brain 
4.ゆびきりをしたのは
5.君待ち
6.生活
7.哀しき Shoegaze
8.生きているよりマシさ
9.君待ち
10.ニセモノ
11.ハピネス
12.理想的なスピードで
13.宇宙遊泳
14.落堕
15.リアル

アンコール

16.イカれた HOLIDAYS
17.エビセン
18.旅立ちの歌

アンコール2

19.パープルムカデ
20.coup d'Etat〜空をなくす
21.真空




このライブについて、どういうふうに書こうか凄く迷いました。というか今も迷いながら書いています。もう書くのやめとこうかなと思ったりもしました。何というか…いろんな人の気持ちに水を差すような形になりそうだから。

でも、やっぱりここには自分の気持ちを素直に残しておきたいと思うので、ありのままに書こうと思います。


MCはいつもにもまして曖昧。多分全然違うかと。





何故かそんなに緊張しない状態で開演を迎えたのだけれど、「Share the light」で中畑さんのドラムが鳴り響いた瞬間に、一気に体を震わすような衝撃があって鳥肌が立った。自分は解散するシロップじゃなくて、今から始まるシロップの生の音をこれから聴くんだな、ということをはっきり感じて、目が覚めるような思いだった。

そして「神のカルマ」。イントロから物凄い波が押し寄せてくるような感覚。あぁ、シロップだ、と。その波の中で歌詞を噛みしめているうちに、何だか今の自分の境遇とか、解散前後にあった出来事なんかが頭の中でぐるぐる回り始めて、早くも勝手に泣きそうになっている自分がいた。曲が終わった時に、周りが盛り上がってるのに反して、ふらふら倒れそうな気分だったのを覚えている。

続く「stop brain」の出だしで五十嵐さんのギターの音がおかしいなと思っていたら、「申し訳ない!」と一声あってやり直し。 「よくあるよくある」「らしいよ!」みたいな観客の声に「らしいって(笑)おぼえてろよ!」と五十嵐さんが返したりしていて、見ている自分も少し肩の力が抜けた。

五十嵐さんの「ただいま帰りました。Syrup16gです」の言葉に感慨深いものを感じつつ、そこからの「君待ち」。場内がしんとした空気になって、それがとても心地よかった。そして、「時計壊れた 後の責任は放棄 すべては ほら もう劣化されない」の歌詞が凄く頭に残った。放棄したようで、できてないね、とか。

その後の「生活」で今度は場内大盛り上がり。イントロの時点で空気がざわついたのを感じた。サビに入ると拳をつきあげる人も多くいて、五十嵐さんの歌は危なっかしかったけれど、メンバーも演奏しながら気持ちが高まっているように見えた。
けれど、自分はというと、ちょっとそのムードに入っていけなかった感があった。この曲で盛り上がるってことが自分にはできないんだな、と思ったり…思えばこの辺に予兆があった気がする。

すっきりしない自分に少しイラついたりもしていたのだけれど、そうしている間にもライブは続いていく。「生きているよりマシさ」は本当に等身大の曲だなと思っているのだけれど、ライブで聴くとその印象がより強くなった。「キョドっちまう」とか「ショボ過ぎて」あたりの表現は最初CDで聴いた時かなり違和感があったんだけれど、そのあたりも今の五十嵐さんにとっては自然なものなのかもしれないと思った。

「ex.人間」ではバンドサウンドの良さが際立っていたと思う。どことなくポップな印象もあって、少し不思議な感じがした。

そして「ニセモノ」。この曲が自分にとってこのライブの転換点だったように思う。
元々好きな曲なんだけれど、復活して初のライブでこの曲をやるってことにちょっと驚いたし、ぐっときた。最初のサビの「見世物の不感症」ってフレーズが音源で聴く以上に強烈に響いて、体が痺れるものがあった。
今思うと、何だか普通じゃないぐらい気持ちが張りつめていたように思う。だからなのもしれない。2番の出だしで五十嵐さんが歌詞を間違えた時に、「え?」っと自分でもびっくりするぐらい何かが切れてしまった。それまでもちょくちょく歌詞飛ばしたりミスしたりしていたのだけれど、それこそ「らしいな」ぐらいの苦笑いですんでいた。けれど、何故かこの場面だけは違った。一旦気持ちが途切れると、その後ずっと立て直せなかった。

動揺している間に、気が付いたら始まっていた「ハピネス」。この曲は自分にとって本当に、本当に大事な曲。さっきのショックはあったのだけれど、やっぱりそれ以上に心震わされた。絞り出すような歌声がこれでもかと自分に突き刺さった。ただ、音源で最後にある「そうか そうか そうだったんだ」の部分が歌われず、かなり残念だった。

ハピネスは五十嵐さんはアコギで椅子に座って歌っていたのだけれど、そのままの形で「理想的なスピードで」へ。この曲でも2番で歌詞飛ばしがあって、そこでまたがっくりきてしまった。本当はいちいち気にしなければ良かったんだろうけれど、本来好きなフレーズだっただけに余計に…なんだか神経質になってしまっていたと思う。

アコギタイムが終わり、「宇宙遊泳」へ。それぞれのメンバーが気持ちよさそうに演奏していて、場内の雰囲気もとても良かった。

そして中畑さんのドラムソロが始まって、そこにベースが加わり、ギターが入って…曲が始まるかと思ったら、そこから五十嵐さんがメンバー紹介を。「スーパーベーシスト」「天才的」「シロップの大黒柱」…全部は聞き取れなかったけれど、思いつく限りの賞賛を並べたという感じで、最後に「キタダマキ!(さんづけだった気も)」。そして中畑さんの紹介。こちらは全然聞き取れなかったのだけれど、「みんなの太陽、だいきちゃん」みたいなことを言っていたらしい。

で、そこから「落堕」。「寝不足だって言ってんの」の部分で五十嵐さんが観客にマイクを向けた時、叫んだ人たちに物凄く見事な一体感があって、なんだか感心してしまった。ただ、そこに自分は含まれていない感じで。
続く、「リアル」も含め、ひたすらに格好良かったのだけれど、何だか一歩退いて聴いてしまっている自分がいた。一つの空間で大勢の人たちと生の音を聴いているはずなのに、部屋で1人DVDを観ているような感覚。
思い返しても何であんなふうに感じたのかわからない。けれど、とにかく目の前のライブに入り込めないまま、本編が終わってしまった。


アンコール1回目。「イカれたHOLYDAYS」をここに持ってきたのも少し意外だったけれど、そこからまさかの「エビセン」。なんだか音源と違って妙にシリアスな空気が作られていたように思う。

そして五十嵐さんの長いMCへ。 「もうすぐ終わってしまうんですが、凄く寂しいです。」「外に出るのが苦痛で、またこの後引きこもってしまうと思うんですが…HURTというアルバムを作って皆さんに会えたので、曲を作ったりしながら、またライブできるようにしたいと思います。」

最後に「好きじゃないとか言ってましたが、結局この曲をやるために回ってたのかなと思います」と言って「旅立ちの歌」へ。
最後のサビ前の「君とまた会えるのを 会えるのを 待ってる」のところはとても温かな感情がこもっていて、凄く良かったと思う。


そしてダブルアンコール…だったのだけれど、「旅立ちの歌」前のMCが「最後です」感に溢れていただけに、あるとわかっていてもなんだか違和感があった。まぁそれは割と小さな違和感で、「パープルムカデ」の中畑さんの迫力あるドラムを聴いているうちに気にならなくなったのだけれど、そんな感じで「ニセモノ」以降はいちいち気にかかることが多く、自分にうんざりしながらのライブだったと思う。

それでも「coup d'Etat」からの「空をなくす」ではさすがに気持ちが高まるものがあって、マキさんのベースの心地よさも素晴らしかったのだけれど、その高揚感もどこか中途半端だった。

曲が終わって、五十嵐さんが最前の観客に近寄って何やらやっている…と思ったら、そこから「真空」へ。最高潮に盛り上がる会場の中で、やっぱりその中に入っていけない自分がいた。なんだか取り残されている気がして、中畑さんのシャウトもどこか遠くの方で響いている感じだった。

どうにかすっきりした気持ちになりたくて、トリプルアンコールを期待して拍手したのだけれど、それも叶わず。結局最後までもやもやした気持ちを振り切れずに終演を迎えてしまった。



振り返ってみると、そんなに悪いライブだったとは思わない…というか良いライブだったと思うのだけれど、何でこんな気持ちになってしまったのだろう…多分ほとんどの人にとって心の底から良かったと言えるライブだったのだろうな、と思うと、余計に虚しさと悲しさが募った。

他会場でやったという「希望」や「イマジン」のような曲がもっと聴ければ少しは違っていたかもしれない。ただ、「楽しむ」という感覚はどちらにしても生まれてこなかった気もした。



シロップはまだまだ続いていくと思うし、自分はそれをずっと追いかけていくと思う。でも、その中で少し不安要素ができてしまった。シロップは自分にとってライブバンドではないのかな、と思ってしまったり。

もっと気持ちに余裕を持てるようになりたい。楽しめるものを楽しめないようでは本当に駄目になってしまう。そんなことを思った。





長々と気分が悪くなるような文章を書いてしまってすいません…いつかこの文章を笑って読み返せる日が来ますように。