音楽ってなんだ

10年前と比べて音楽を聴く時間は激減したと思う。

好きだった曲やバンドが嫌いになったとかではない。気が付いたら、なぜか遠ざかっていた。

 

たまに大好きな曲(GDHMやROTH BART BARONが多い)を聴き、思い出したようにライブに行くが、昔のように新しい曲を次々と求めて貪欲にいろんなものを追いかけることはなくなった。

 

何故だろう。

 

今でも音楽は好きだ。それは間違いない。

ライブに行ったり配信を観る機会があると、どこまでも満たされる他では得られない感覚がある。

好きな曲を聴けばこれ以上なく感情を揺さぶられるし、知らなかったバンドやシンガーに出会えばわくわくする。

 

ただ、そこにかつてはあった絶対的なエネルギー、新しい音への渇望、そういったものが感じられなくなっている。

 

「歳をとった」

それで片づけることもできるかもしれない。でもそれは何か違う気がする。

相変わらず精神は幼いままだし、不安定で成熟なんて言葉には縁がない。

 

そこにはただ、ぽっかりと穴が開いている。

 

別に音楽を聴く時間が減って生活がうまくいかなくなったわけではない。

傍から見ればむしろずっと長い間何もしてこなかった状況から、少し前進しているように見えると思う。

 

けれど、そこにはただ、ぼっかりと穴が開いている。

 

 

「音楽は魔法」とずっと思っていた。

その魔法は解けたのか?

いや、そんなことはない。

自分は今も音楽の魔法を信じているし、それがあるから今も生きることができていると思う。

 

ある意味呪いのようにも思える絶対的な信頼と、人を好きになるよりもずっとわかりやすい熱量がここには未だに存在している。

 

サブスクのおかげで気になる曲があれば10年前より圧倒的に聴きやすくなった。

twitterでもYouTubeでも、求めれば新しい音楽は次から次へと供給されている。

 

この穴は、どうやったら埋まるのだろう。

また新しい魔法を追いかけられる日が来るのだろうか。

あるいは魔法がなくても生きていけるようになるのだろうか。

 

またこんなくさくて気恥ずかしくて馬鹿馬鹿しい文章を書いてしまっている自分がいる。

でも結局いつまで経ってもそういう人間なんだろうなとも思う。

 

音楽は鳴り続けている。