歌を歌いながら空を見てた


嬉しさ、待ち遠しさ、緊張、不安…会場までの道中、いろんな感情が湧き上る中で、自分がBURGER NUDSのライブを今から観られるということが、なんだかとても不思議なことのように思えた。現実味の無い「お話」の世界にいるような、落ち着かなさ。
開場前にtwitterで昔からフォローしている人数名と初めて会って、そんな気持ちは更に強くなった。落ち着かないまま、開演を待った。




ほぼ予定通りの時間にメンバー登場。そしてすぐに1曲目。
初っ端から「ミナソコ」。
当然かもしれないけれど、音源とは全く違う、というのをまず第1に感じた。基本的にアレンジや歌い方は音源に忠実で、変わらない、と感じさせる部分もあったのだけれど、それでもその音は自分には全く違って聴こえた。このメンバーだからこそ出せる、貫かれた一本の芯と共に、10年という月日を感じさせるような、いろんなものが詰まった音だった。それはこの日演奏されたどの曲にも言えることだったと思う。

続いて演奏された「逆光」は自分にとってとても大切な曲。「この真っ直ぐな目 真っ直ぐ背けた この世界のすべてから」というフレーズを生で聴いて、こみあげてくるものがあった。サビの「壊れた心が今 涙目のフレーズ口ずさんで」の箇所では、良くも悪くも門田さんの声の変化をはっきりと感じた。音源よりも力強く、前を見据えている感じ。


3曲目からテンポの速い激しさのある曲が3つ続く。このあたりは何だかあっという間だった。冒頭に書いた「不思議な気持ち」がまた改めて湧き上がってくるのを感じた。


そして「タネリ」。門田さんソロの弾き語りで聴いたことがあるのだけれど、その時の優しく包み込むような雰囲気とは違って、少し疎外感を感じさせる歌い方だった気がする。その辺は、ソロとBURGER NUDSとの違いが出たのかもしれない。


「草の花」からの3曲は「Symphony」の曲独特の、根が張ったような重たさのある曲。GDHMや門田さんソロではあまり聴くことのなかった棘のある響きに、何故か安心感を覚えた。BURGER NUDSの曲は、自分の中で、いわゆる「水や空気のような存在」になっているのだと思う。

「自己暗示の日」でバンドサウンドとしての心地よさを改めて感じさせられた後、軽くMC。…と言っていいのかあれは(笑)

門田さん「何か言うことあるんじゃないの?」
丸潤さん「えー… こんにちは!」
→場内大拍手
武瑠さん「ただいま」
門田さん「…(素っ気なく)だいたいこんな感じだったよね」

その後の「エコー」では、「合言葉 俺も永遠に忘れないで生きていたい」の部分を「忘れないで生きてゆける」に変えて歌っていたのが印象的だった。


「指輪」を挟んで、MC。
「僕たちは最近symphonyっていうアルバムを出したところなんですけど…」
→場内爆笑
「新しい曲を作ったので聴いてください。」

1曲目、「LESSON」。
歌い出しがあまりにも「最近の門田さん」でちょっと笑ってしまうと同時に不安になったのだけれど、次第にBURGER NUDS色も見えてきた。「君は独りで良い」というフレーズが、言葉通りそのままではなく、たくさんの感情を伴って響いていたように思う。

http://masaakimonden.tumblr.com/post/89381579497/lesson

2曲目「NERD」。
こちらは意識して作ったのか、10年前のBURGER NUDSを感じさせる曲だった。ドラムとベースの跳ね方が印象的だった記憶。

http://masaakimonden.tumblr.com/post/89381747172/nerd


新曲が終わって「冷たい水」。大好きな曲だけれど、この日聴けるとは思っていなかったので、かなり嬉しかった。他の曲とはちょっと違った柔らかさを感じた。

そして、この「冷たい水」以降の流れが素晴らしかった。

まず、自分にとってBURGER NUDSとの出会いの曲である「AM4:00」。静けさと激しさの絡み具合がたまらない。ベースソロのようになる箇所から、「ただ 今日を そっと焼く」のフレーズ、そして「燃やした 意味など 繋いだ 手が手が 見えない 」の流れで鳥肌が立った。そこからラストまでの盛り上がりは言わずもがな。

演奏終わって一度力を使い果たしたような表情を見せる門田さん。
「駄目だ。」
「次で俺死ぬかもしんない。」
「骨は拾ってください。」

この流れで、ああ、「鋼鉄の朝」だな、とわかってしまった。(笑)
ちょっと序盤音程が怪しくて(と、感じられて)なかなかしっくりこなかったのだけれど、徐々に自分の中に音が溶け込んでいくのを感じた。重く深くかぶさってくるような言葉と音圧。特に最後の「狂気のような夢で殴って 救いは無い 怯えも無い ただ また 朝」の迫力は凄まじいものがあって…終わった後ちょっと放心状態だった。

そしてそこからの「遺失物取り扱い係り」。この流れで「死んでみたくなる 笑って言う君に異常など無いさ」のフレーズはちょっとずるいと思った。否が応でも揺さぶられる。全体を通して、なんだかひどく優しく感じられる演奏だった。

で、とどめが「Candle For Minority」。やっぱりこの曲は自分にとってもバンドにとっても特別なものなんだと思う。「すべてに戸惑いながら」という歌詞に詰まったものの大きさを感じた。


ラストは「プリズム」。個人的に意外な選曲だったのだけれど、ゆらゆら揺れて光が小さく差し込むような響きが心地良かった。静かに静かに、眠るような終わり方だったと思う。



アンコールでは長い長いMC。

・門田さんと丸潤さんの不仲が理由で解散したこと。
・久しぶりに連絡を取り合ったこと。
・今回限りではなく、続けていきたいということ。
・この日やった曲以外にも新しい曲をたくさん作っていること
・何らかの形でその曲達を届けたいと思っていること。
・週1回、6時間ぐらいスタジオに入っているということ。
・年内に関西でライブを1本やること。東京でもあと一本はやりたいということ」

まだまだあったと思うけれど、だいたいこんな感じ。
個人的に、門田さんと丸潤さんの喧嘩の話は音楽と人のインタビューで知っていたのだけれど、直接本人たちが語っているのを聞くとなんだかまた不思議な感じがした。吹っ切れた感もある一方で、今も複雑な感情を互いに持ちながらやってるのかな、と思ったり。
新曲を作ってくれていることや、関西でライブをやってくれるという話には喜ばされた。まだまだ続く、という先が見えるのは何よりも嬉しい。


アンコール1曲目は「MARCH」。「変わらないものがあると 戻らない時間の中 歌を歌いながら 空を見てた」という歌詞、まさにこの日感じたことが詰まっているような気がした。空を見てた、の繰り返しがまた、心の奥底に響く。

そしてラスト。「最初に作った曲をやります。BURGER NUDSBURGER NUDSになった曲を最後にやって、終わりたいと思います。」と言って「Cold Burn」。
長い前奏の中で、ここまでの2時間ちょっとの記憶が次々と頭に浮かんできて、曲に集中できなくて大変だった。初期衝動と「今」の両方が合わさって、とても勢いのある演奏だったと思う。その熱量に押されている間に、気が付けば最後を迎えていた。
終わってみれば、本当に、あっという間の時間だったように思えた。


・セットリスト

1. ミナソコ
2. 逆光
3. ANALYZE
4. Brave Girl In Hell
5. 歪み
6. タネリ
7. 草の花
8. 空気清浄機
9. 不感症
10.自己暗示の日
11.エコー
12.指輪
13.新曲(LESSON)
14.新曲(NERD
15.冷たい水
16.AM 4:00
17.鋼鉄の朝
18.遺失物取り扱い係り
19.Candle For Minority
20.プリズム

アンコール

21.MARCH
22.Cold Burn


※どこだったか忘れたのだけれど、「10年前のライブは観たこと無い人いる?」→観客手を上げる→「ほとんど…いや、半分ぐらい?」
→「男子が多くてびっくりした」「テンション下がった?」「そんなことはないけどね。」
てなやり取りもあった。



終演後は、出会った人たちと感想を交わす自分になんだか違和感を感じたりしつつ、高揚感と「終わってしまったな」という寂しさの入り混じった気持ちで帰りの夜行バスへと乗り込んだ。


そんなこんなでとても濃密な時間を過ごせたわけだけれど、正直言うと「大満足」というわけでもなかった。未だに忘れられない幾つかのライブに比べると、心を思いっきり揺さぶられた瞬間が少なかったように思うし、まだまだ聴いていたいという気持ちが強いまま終わってしまった感があった。(個人的にダブルアンコールを期待して拍手を続けたかったのだけれど、門田さんが「最後の曲」を強調していたこともあって会場はそういう雰囲気にならず…)

まぁ結局のところ「神様ごっこ」を聴けなかった、そのことに尽きるのかもしれない(苦笑)。いろんな人にしつこく言いすぎて呆れられたかも…(汗)それぐらい残念だった。

けれど、今回の再結成にはまだ続きがある。また次の機会…と言わず、何度も聴けるぐらいに、たくさんのライブを観たいと願う。もちろん新曲にも期待したい。門田さん、頑張ってください(笑)


最後に、メンバーと、関係者の皆さん、そしてこの日出会った人たちに感謝を。本当にありがとうございました。