LOST IN TIME presents 線路の上〜大阪編〜 (10/16 梅田シャングリラ)


LOST IN TIMEに惚れ直しました。
本当に温かい温かい、ライブ。終始、穏やかな笑いが絶えませんでした。
ただ楽しいだけではなく、海北さんの迷いや感情が、
嫌と言うほど生々しく、MCや演奏に表れていて…
正しく受け止められたかはわかりませんが、「伝わってきた」と思えるライブでした。
以下、ネタバレありまくりなので仙台行かれる方はご注意。
今回凄く長いライブだったので、いつもにもましてMCの順番、詳細など、
いろいろミスあると思いますが、雰囲気が伝わればいいなー、
行った人には思いだしてもらえればいいなーっ、と思って書いております。


シャングリラはSOLD OUTではないものの、そこそこの人の入り具合。
3人全員が良く見える、中央右4列目ぐらいに(ピロウズのタオル片手に)陣取って、開演を待ちました。


照明が落ち、メンバーが現れて、拍手が起こり、そしてやみ…


一瞬の静寂の中に漂う、これから始まるライブへの期待感、緊張感。
それを切り裂いたのは、これ以上ないぐらい優しく、そして力強い「声」でした。



俯いたまま 震える足 かじかんだ手
音がはじけて あの日の僕が さよならをした



今回のツアータイトルになっている「線路の上」
もう初っ端から身震いしてしまいました。源さんのドラムはもちろん、サポートの三井さんのギターも凄く良くて…
そしてその震えが「証し」で一気に熱を帯びた胸の高鳴りに…
「言葉よりももっと心の近くで僕は歌いたい」と歌う海北さんに、聴いてるこちらの心はぐいぐい近づいて行きます。


そして勢いそのままに「告白」!なんだこの流れ…
「きっと今の僕自身の事誰よりも僕が分からないから」 「それでも僕は歌が歌いたい」と歌う、
LOST IN TIMEというバンドの今までを象徴するようなこの曲。
最後の方の、ベース、ドラム、ギター全ての音が一度消え去って、
海北さんの声だけが響き渡る部分で、早くもこの日二度目の鳥肌タイム。



シャングリラから溢れでそうなその歌声で会場を満たした後、
今度は、MC…というより、友達に語りかけるような口調で喋る海北さん。


「今日は、来てくれてありがとう。今日は曲、たくさんやります。
大阪でしかやらない曲も、準備してきました。
長いから、さ。体力に気を付けて…
…今のは自分に言いました(笑)」


続いて、「いつものように夢を断ちきる音 何気ない今日がまた始まる」
そう、「はじまり」
曲の最後、「限りない夢を見てる」という歌詞を、「限りない夢を見よう」に変えて歌っていました。
ああ、この人は本当に会場の全員と一緒にライブを作ってるんだな、と、実感。


ここから、「教会通り」「イロノナイセカイ」「誰かはいらない」
と、初期からのファンにはたまらない懐かしの曲を一気に。


なんて贅沢なセトリ…と夢見心地になっているところに、
いきなり聴いたことのないイントロが…
新曲?と思っていたら、
それは最初だけアレンジを変えた「列車」でした。
完全に不意をつかれてしまって、しばらく呆然と立ち尽くしてしてしまった自分。
その耳に流れ込んでくる圧倒的なボーカルと、冬に漂う空気のようなメロディ。
そしてこれ以上なくシンプルで、これ以上なく胸に刺さる言葉たち。


全てが変わった 何一つできなかった 
それでも必死だった 毎日に怯えながら
あの頃は良かった なんて 言いたくはなかったのにな
あの頃は良かった なんて 言いたくはなかったのにな




「今日はちょっといつもと違う感じで。
いつもやれない曲も交えて…
いろいろやりたいと思ってます。
次からちょっとアコースティックで。
セットチェンジにあれこれと時間がかかるんで、しばしご歓談を(笑)」


そんな流れで一時休憩のような形に。1人の自分はひたすら「列車」の余韻に浸ってました。
準備しながらも客席に親しげに話しかける海北さん。それに答えるお客さん。


ああ、LOSTのライブだなー、と思える、温かい空気の中、
海北さんがキーボードを弾く形で「然様ならば」
ベースを弾く海北さんもいいけど、鍵盤を弾く海北さんの姿も凄くいい。


この日は何度か、「バンドでは都合がつかなくてこれないかもしれないけれど、
1人ででもライブしに来たいと思ってます」というようなことを仰ってたんですが、
その時は是非鍵盤弾き語りとかやってみてほしいなーと思いました。


「目まぐるしくセットが変わります」


とのことで、今度は海北さんはベースに戻り、源さんがカホン(椅子みたいなの叩く、あの楽器です)を持ってステージ中央へ。
「いつもは源ちゃんだけ後ろで、2人はこんな前の方でやってるんだけど、どう?」と海北さんに尋ねられ、
「後ろにいてもお客さんの方見れないのに…」「緊張でやばいことになってます」とはにかむ源さん(笑)


そして始まった「一つだけ」凄く良かった!
元々好きな曲なんですが、アコースティックでこんな魅力が出るとは思いませんでした。
三井さんのギターの柔らかい音色が「ひとつだけ」という言葉を包みこむように響きわたります。
続いて、「カバーやります」
ということで、スターダストレビュー木蓮の涙」
カホンの素朴な音と、歌声の伸びが最大限に生かされたカバーでした。三井さんのコーラスも◎。



ここでアコースティックタイムは終了。




「最近涼しくなってきましたねっていうMCをしようと思って来たんだけどさ…今日暑い(苦笑)
それでも少しは涼しくなった?」

客「夜寒いー↑」
「ありがとう。…うん、寒いーって言う言葉のイントネーションでハッとするね(笑)
関東以北の人間としては」


「いろんなことを忘れてしまうけど、忘れたくないものがあります、」


ということで「忘れもの」


会場を少ししんみりさせたところで、長いMC。


「伝えたいことがあっても、伝わらないことの方が多くてさ…


こうやって、続きに何が言いたかったかも忘れてしまったりしてさ(苦笑)
…○○さってさっきから多いね。最近知ったんだけど〜さっていうのは、栃木と群馬(?)の方言らしいよ」
客「(へー)」
「…だからなんだって話なんだけど(笑)
…オチを求めてはいけません。これも関東以北だからということにしてください(笑)」


「…言いたいことがあっても、こうやって話がそれてしまったりしてさ。
それでも、確かに伝わるものがある、そんなふうに思ってます。」


と、だいたいこんな流れで
「合い言葉」
言葉を噛みしめるように演奏しているメンバーの姿が印象的でした。
続いて、「キャラバン」
源さんが楽しそうに叩くドラムがとても目立っていて、跳ねるような心地よさ。


ここから、小さなMC(というよりお客さんとの会話)を挟みつつ、一気の流れで
「花」「8月7日の夕焼けを君は見たか」「通り雨」



もう二度とあの日と同じ花は咲かない


そう、そうなんだよな、と1人感傷に浸りつつ…
圧倒されたのが、この日初めてライブで聴いた「8月〜」。
そんなわけないのに、ステージが夕焼けで真っ赤に染まったかのように思えました。
一際懐かしい「通り雨」にも勝手に感激。出だしの弱くて繊細なメロディが大好き。



そしてここでMC。


「楽しいことがあれば、辛いことも、あって。
でも、そういうことを感じれるのは、
それでも続けているからであって。
わかってはいるけど、投げ出したくなる時もある。
それはそれでいいと思うんです。
そのままの自分でいればいい。「ココロノウタ」をやります」



大声で笑いたいのに笑う事が出来ない僕と
大声で泣きたいのに泣きだすことができない君
痛みに慣れてしまったのはきっと臆病だったから
夢を忘れてしまったのは変わらぬ日々に疲れたから
ありのままで心のままに僕はこの歌を歌う
悲しいことが悲しいわけじゃなくて悲しいと言えないことが悲しい



LOSTとの出会いの曲であり、今でも一番好きな曲。
一つ一つの言葉が、音が、自分の感情へと直接ぶつかってくる、そんな感覚。
言えなかった言葉も、外に出すことのできなかった感情も、全部。


そして「希望」
初めて聴いた時は、個人的になんだか違和感を感じてしまった曲。
「希望よりももっと当たり前の何かを歌いたい」(「証し」より)んじゃなかったのかって。
でも、揺れ動きながら進んでいく様は、まさにLOSTの姿そのもので。
この日の「希望」は「ココロノウタ」同様に、真っ直ぐに自分の心に突き刺さってきました。



「新曲を作ってるんですが…1人でやってて。少しでも伝わってほしいと思って。
それって自分を嫌いになる作業でもあるんですよね。
なんだろう。…多分自分の情けない部分とか、そういうのを誰もがもっていて。
それで何かを感じてもらうためには、どうしても自分の嫌な部分と向き合わなきゃならなくて。
でも、ね、思うんです。そうやって探して作って感じてもらわなくても、
自分がこうやって思ってることに、誰かが共鳴、というか、共振。してくれれば、それでいいんじゃないかな、と。
強く振る方じゃないよ(笑)」


「今からやる曲は、ひとりごとです。
ただ、その歌にに少しでも何かを感じてくれる人がいれば、それは嬉しい。
その時、それは君の歌になります」


ということで、新曲「ひとりごと」
体が震えて、思わず声が出てしまいそうでした。
本当に、海北さんって、なんて不器用で、なんて正直な人なんだろう。(俺に不器用とか言われたくないでしょうけど…)



「今日は本当にありがとう。」
と一言あって、本編ラストは「ハローイエロー。」


この曲では、海北さんの歌声以上に、
アウトロの3人一体となった演奏に心揺さぶられました。






たくさんの心からの拍手に迎えられ、アンコール。
海北さん1人アコギを持って登場。


「新曲をやりたいんだけど、なかなかバンドで練習する時間が取れなくて。
どうしても聴いてもらいたい気持ちを抑えられずに、フライングぎみにやらせてもらいます。」



「変わらないものってあると思いますか?僕は今までないと思ってたんですね。
…そして実際、多分ないんですよ。全て変わって行って。そりゃ歳もとるしさ。

そうやって少しずつ僕も変わってきてて。
一方で変わらない自分がいる。そんな気もしたりするんです。」


「わかりあいたいって気持ちは、わかりあえないじゃないかってことからはじまる。
そう、思うんです。」


そんなMCと共に、新曲、「勲章と傷」(仮タイトル。「勲章と傷痕」だったかも…?)
1フレーズでしたが、歌詞が鮮明に記憶に残りました。バンドで完成形として聴くのが本当に楽しみです。
続いて、チューニングしながら楽しげに語りを続ける海北さん。


「LOSTの曲っておめでたい場にあう曲がないでしょ?(笑)
「羽化」は例外で、友達の結婚式に作った曲で。
それで最近、また友達が結婚することになって、書きおろしたんだけどさ…
…30ぐらいになると、多いです、周りに結婚(笑)
それで、式で歌わせてもらったんですが…
思いもよらず、新婦じゃなくて新郎の父親が号泣してくださって(笑)
「うちの息子を選んでくれてありがとう」ってスピーチで泣きながら言ってて、つられてみんな号泣。っていう(笑)」


ということで、和んだ雰囲気の中、新曲、「ひだまり」
土の上にずっと続いた足跡と、それを照らす太陽の光が目に浮かぶような、
ある意味LOSTらしくない(笑)優しい優しい歌でした。



「次からは、何やるか、決めてなくて…でも、やっぱりこれかな。
がんばれよって言ってほしい人と、言ってほしい自分のために」


「旅立ち前夜」
この曲って、メッセージソングではあるけれど、
それは「自分以外の誰かのため」というより、
「それぞれにとっての自分のため」の曲なんだな、と、改めて思いました。



ここで、「そろそろメンバーに登場してもらおうかな」
ということで、まずは三井さん登場。


持ち上げて持ち上げて紹介し、
登場後もべた褒めにする海北さんに「やめてよ(笑)」「気持ち悪いっす(笑)」と三井さん(笑)


源さんは海北さんに「彼は頑張ってるんです。
そこに売ってるグッズとか、ほとんど源ちゃんがPCでデザインとかしてくれてて…
僕が曲作ってる間、酒ばっかり飲んでるわけじゃないんです(笑)
ブログには酒のことばっかり書いてるから誤解されがちなんですけど」と紹介されて登場。


「三井君は東京戻って明日も仕事ですが、僕は飲み会です!」と小声ながら高らかに(矛盾してるけどこの表現がしっくりくる)宣言する源さん(笑)


源「実際そんなデザインとか自分はちょっと口だすだけで…いやなんに」
三井「なんでそんな小声なの?」


突っ込まれまくり(笑)で、
最後は開き直り気味に
「大岡源一朗を見に来てくれてありがとう(爆)」


場内大拍手(笑)


去り際に小声で「昨日(名古屋で)も言った」と呟きながらドラム位置へ戻る源さん(笑)
「昨日も言ったなんて言わなきゃいいのに(笑)でも、言っちゃうところがいいね」と海北さん。
横で笑いをかみ殺している三井さん。
なんだかすごくいい雰囲気でした。


そしていよいよ曲へ。


さんざん盛り上げといて、次は凄く静かな曲っていうね(笑)」


「何にもない日なんてないんです。昨日の事。」


声にならない叫び声が…!
一番ライブで聴きたかった曲。
イントロの時点でもう体の内側からじわじわと感情が溢れ出てくるのを肌で感じました。



ああ 今日は何もなかった 今日は何もなかった
さぁ夜が来る 僕はひとりきり

さぁ夜が明ける
ああ 昨日はいろんなことがあった 昨日はいろんなことがあった
思い出はいつでも 僕の左隣で 優しく小さな冬の抜けがら



最後の一音がゆっくりと小さくなって行き、
場内が、メンバーとファン全員の感情が全て圧縮されたような
濃い空気に包まれた中、静かに語りだす海北さん。


「辛いことも、楽しいことも、いろいろあるけど、
お互い、頑張って…
頑張ってってのはなんか違うな。
…お互い、歩いて。
お互いずっと歩いて行きましょう。
必ずまた来ます。約束」


最後の最後にこんな言葉。そして最後の最後に「約束」
ずるい…(何がだ笑)


もう胸一杯で何も考えられず、ただただメロディに身を任せているばかりでした。
最後の最後まで、ありがとう、ありがとう、と言いながら去って行ったメンバー。
それがいいたいのはこっちです。
言いたいから、また、会いに行きます。自分に、約束。



セットリスト

1.線路の上
2.証し
3.告白
4.はじまり
5.教会通り
6.イロノナイセカイ
7.誰かはいらない
8.列車
9.然様ならば
10.一つだけ
11.木蓮の涙(スターダスト・レビューのカバー)
12.忘れもの
13.合い言葉
14.キャラバン
15.花
16.8月7日の夕焼けを君は見たか
17.通り雨
18.ココロノウタ
19.希望
20.ひとりごと(新曲)
21.ハローイエロー


en1.勲章と傷(仮タイトル、新曲)
en2.陽だまり(新曲)
en3.旅立ち前夜
en4.昨日の事
en5.約束





会場限定のアコースティックCDを入手して帰りました。(この日やった、然様ならば、一つだけ、木蓮の涙も収録されてました)
海北さんが出口近くに出てきてくれたので、行列が出来て、サイン&握手会みたいになってました。
本当に温かい、優しい気持ちになれるライブだったと思います。



最後に、会場にいた全ての皆さん、長々とレポを読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。