声が重なる温度を信じ



「陽だまりを越えて」/Good Dog Happy Men

ミルクを温めることしか出来なかった夜
僕たちはずっと文字盤を睨み無力さに凍えて
              (「陽だまりを越えて」より)


物語の世界ではなく、地下室の中でもない。
音楽の向こうに、唄っている人の姿が見える。
そんな、少し哀しくて、でも人間らしい
1フレーズから始まる、今回のシングル。
新しいGDHMの「越えていく」という
思いが、ひしひしと伝わってくる内容だと、自分にはそう感じられました。



まさに「陽だまり」を感じさせるようなメロディと、
今まで以上に優しい感情が詰まった、門田さんの特徴あるボーカル。
そして何よりも印象的なのが、今までのGood Dogにはなく、
BURGER NUDSにもありそうでなかった、「現実」と向き合った言葉の数々。

窪んでいく眼に こけてく頬に すぐ震える指に
心配掛けて 迷惑かけて 愛されて 怯えて
    (「Song for lover's」より)


BURGERと今までのGDHMは、全く違うようでいて、
「憧れにも似た純粋さ」(のようなもの)を持ち、
「どこか別世界に連れていかれるような雰囲気」がある、
という2点において、共通する部分があったと思います。


それに対して、今回の3曲からは、
はっきりとした風景、手触り、質感が伝わってくるんですよね。
「純粋さ」の方はそのままに、
聴き手と唄い手が、「この歌を知らない人たちと同じ世界」にいる、
その事実を強く感じさせる歌詞。言葉。音。
ここに、彼ら2人の、今までとは違った決意が表れているように感じました。




BURGER時代の曲「エコー」の中で、門田さんは
「Trust you 合言葉 俺も永遠に忘れないで生きていたい」と歌い、BEST盤の曲解説において、
「祈りと叫びがブレーキの音と重なって、それが心の中でエコーみたいにずっと残ってた。
〜中略〜10年以上かかって、やっとその気持ちが「Trust you」だってことに気付いた。」

と語っていました。


そして今、「I love you trust you」と唄うGDHMの曲。
そこに、韮さんや大地さんの(更に言うなら丸潤さんの)音はありません。


「心の色を示してくれる宝石」だったBURGER NUDSの曲たち、
そして「陽だまりの象徴」だった4人でのGDHMの活動。


それらが存在した場所をしっかりと見据えながら、
今、まっすぐにそれを越えていこうとしている2人。
新たなレコーディングにとりかかり、ライブ予定も早々と決めて、
休むことなく積極的に動き始めた彼らが、
この先どんな形で活動していくのか、本当に楽しみです。


そして願わくば、その想いがより多くの人へ、より遠くの場所まで、届いてほしいと思います。



あの時 唄った言葉がほら
「I love you trust you」
心を無駄に太らせない