選ばれなかった僕らでも


ライブでの盛り上がり方って難しい。
最近そんなことをよく考える。


自分はどちらかといえば後方でじっくり音を聴きたいので、
最前でライブを観ることはほとんどない。
それでも、たまには前の方で観たいと思う時がある。
足元のエフェクターが気なる時とか、ステージの熱気を感じたい時とか。


でも、例えば凛として時雨を観るとき、
自分にはとても前の方に突っ込んでいくことができない。
ああいうモッシュやダイブのある空間に無理に入ってみたところで、
楽しむことができず、結局周りに迷惑をかけるだけだろうと思う。
だから最終的には、少し寂しい気持ちを抱えつつも後ろの方で観ることになる。
これは別に誰が悪いわけでもなくて(強いて言うなら前の方で楽しむだけの適応力のない自分が悪い)、
ライブハウスの構造上仕方がないことだと思う。


ただ、一つどうしても気になることがあって。
それは何かと言うと、
棒立ちの人=楽しんでない、
というように捉えている人を、ブログ等でよく見かけること。



自分は、割とどういう音楽でも体揺らして聴ける方だし、
(むしろ自分の世界に入って揺れすぎ、という感じで危ない時もある…汗)
音源では聴かないであろうタイプのアーティストでもライブなら割と楽しめる。
けれどどうしても、思いっきり暴れる、踊る、汗まみれになる、というような
楽しみ方はできなくて、自分のやり方でしか音を受け止めることができない。
ピロウズのライブでも、どうしても拳をあげたりすることができず、
楽しみながらも少し温度差を感じてしまうことが、最初のころは多かった。


程度の差はあるけれど、それと似た感じで、
どんなに好きなバンドのライブをどんなに楽しんでいても、
周りからみたら無表情で突っ立ってるだけに見えてしまう…
そういう人はかなりの数存在しているんじゃないかと思う。
実際、最後尾からライブハウスを観ていると、ライブ中ぱっと見棒立ちだった人が、
終演後には凄く満足した顔でライブについて語っている、という場面をよく見かける。


そういう人たちの気持ちをしっかり理解しろとは言わないし、
ましてそれに合わせてくれというつもりは全くない。
自分が凄く残念に思うのは、そういう人たちを見て、
「場内が盛り上がってないから萎えた」とか、「雰囲気が悪かった」とか
思ってしまって、結果楽しめない、という人がかなりの数存在するらしい、ということ。
本当に勿体ないと思う。


そういう人の意見を見ることで先にあげた「棒立ちで楽しんでる人」たちが
ライブに行きにくくなることもある。(掲示板とかで、よくそう意見を目にする)
場内が一体となったかのように感じられるライブが一番素晴らしいことに異論はないけれど、
他のお客さんのせい(と感じてしまうこと)で楽しめないなんて、そんなの絶対に勿体ない。



ライブは全体で作るものかもしれないけれど、、
演奏者と聴き手が1対1で音と向き合う、という側面もあると自分は思ってる。
自分なりのライブの楽しみ方をしっかりと見つけたうえで、
他にもいろんな楽しみ方があることを知れば、
周りが気になって楽しめない、なんてことは限りなく0に近づけることができるはず。
さらに言うと、多少マナーが悪いお客さんがいても、ちょっと考えて頭を整理したら、
意外と気にせずに楽しめるってケースはかなり多いと思う。


自分の場合、ライブに慣れてきたここ1年ぐらいは、
周りが気になって楽しめなかった、というライブは1回も無かった。
(楽しめなかった時、というのは決まって自分の心理的なコンディションに問題があった時。)




長々と書いてしまったけれど、結局何が言いたいかと言うと…
自分が好きな音楽ならば、周りがどんなお客さんであっても、
努力や捉え方、考え方次第で、ライブを楽しむことはできるはず、ということ。
アーティストは好きなのにファンが嫌いだからライブ行かない、或いは聴かない、
なんてのはあまりにも勿体ない。


音楽が好きなら、それをより楽しむ方法を
しっかり考えた方が幸せになれるよ、と。そんな風に思うのです。