GRAPEVINE tour 2011 @なんばhatch


行って参りました。
アルバムがかなり好みだったので、今回のライブも相当楽しみにしていましたが、
期待を裏切らない演奏を披露してくれました。
現在脳内がばいんばいんしております。


以下セトリ等ネタばれあり。




初っ端田中さん挨拶。
「こんばんは。」
「皆さんの物語はまだ続いています。今日もまた何度目かのスタートをしていきましょう。」


何故か笑いそうになったのは自分だけでいいと思います。ハイ。



で、一発目は、
「Silverado」
最初は淡々と、なんだか霧がかったような雰囲気。それが、
「真昼の光の中へと出てゆこう 俺は塵芥」
のフレーズを合図に一気に開けていく。
さすがバインさん、いきなり痺れさせてくれます。こんな塵芥が居て良いのか(笑)


つづいて、「今日のこの大阪に捧げるThis town!」
さらに、「Suffer the child」とたたみかけます。
西川さんのギターに惚れ惚れしてたら田中さん負けじとやり返すし、
亀井さんも金戸さんも貫録の音鳴らすし、高野さんは手品師みたいに指動かすし…
ようするにメンバー全員凄すぎて耳があっちへ行ったりこっちへ行ったり。




3曲やって田中さんMC。


「ストレンジランドへようこそ。」


「えー、我々真昼のストレンジランドというアルバムを発売いたしまして、
ありがたくもご好評を頂いているわけですが… 聴いてくれた?」

客拍手

「わかってるからな。今、聴いてないやつらも拍手したこと。」


「アルバム聴いてもらってたらわかると思いますが、
もはや盛り上がるとか盛り上がらないとかそういうところで音楽やってませんので。
そういうの求めてる人は… 残っ念っ!ということで。(笑)」


「まぁそういうのは余所でやってもらうとして、
今日は、皆さん自由に…聴く人によって違う風景が見えるような、
そんな演奏をしたいと考えてます。」


「人によって、経験してきたこととか見てきた光景とか違うと思うのね。
今日は、一本の映画を観た後のように、何かを感じとってもらって、
それを持って明日から生きて行ってほしいです。…何かかっこえー話してしまった!」


田中さんはかっこえー話をするといつも照れて誤魔化しますね(笑)


「喋りすぎましたね。ストレンジランドはここから深いところに潜っていきますんでよろしく」



ということで、ミランダ」「ピカロ」
独特の濃い雰囲気の楽曲を2曲続けて。
なんというか、渋い。けど馴染みやすい。バインの魅力たっぷり詰まってる感じがしました。
特にピカロのコーラス、ちょっと異世界感が出てて良かったです。


ここから「Afterwards」でちょっと雰囲気を変えておいて、
どどんと来たのが冥王星
ジュブナイルカップリング曲ですが、ライブverかっこよすぎ…!
お客さんの反応も良くて、演奏終了後に田中さんが
「この曲知らなかっただろ、ざまぁみろ って言いたかったんですけど、意外と人気曲だったようです」
とか仰ってました。
さらに、「もう二度とやらん」とも…でもあの様子だと多分またやりますね(笑)



MCでちょっとゆるい空気になって、さぁどうくるかな?と思っていたら、
じっと間を取るメンバー。それまでのざわついた空気がだんだん緊張感に満たされていき、
しんと静まり返ったところに、鍵盤の繊細な音が小さく、でもはっきりと響き始め、
「おそれ」へ。


これまでひたすらにつみあげてきたこと
なんどもみつめなおしてむきあうようなこと


手ばなせるものなどただのひとつもない
おそれずに おそれずに
それでいい
それでいい だと?


疑問符のついた言葉が痛切な響きを持って歌われ、
その思いを何度も反響させるように鳴らされるサウンド
一緒に叫びたくなるような、生々しい感情が湧き上がってくるのを感じました。



「Dry November」「411」では、金戸さんウッドベース(?)で存在感発揮。
「Dry〜」の方は、全体的にアコースティックな雰囲気ながら、
西川さんのエレキも強烈なアクセントを加えていました。
「411」は終盤、バインお得意の放っておいたら延々演奏し続けそうな長尺アレンジに。
途中でスタッフさんがまるで手品師の助手みたいにケースを抱えて田中さんの元へ歩み寄り、
何を渡すかと思ったらハーモニカ(笑)
でも田中さんがそれを操ると超絶かっこいい&迫力ある音が出るからなんかもう凄い。
メンバー全員楽しそうにセッションしている感じが印象的でした。



田中さん
「前回のツアーでは専属ソムリエを雇って毎回お酒を飲んで臨んでたわけですが…
今回は代わりに執事を雇ってます。さっきブルースハープ持ってきてくれた人です。
加藤さんと言います。」


田「皆で呼んでみましょうか。せーのっ」
客「加藤さーん!」


ステージ脇から顔を出すスタッフさん(笑)


田「嘘です。工藤さんでした。ではもう一度。せーのっ」
客「工藤さーん!」
ス「佐藤です」


何これ(笑)


田「今回唯一のコール&レスポンスがこれですからね!」




そんなわけでまたしてもMCでゆるゆるな雰囲気になり油断してたら、
今度は間を取ることなくいきなり「風の歌」へ。不意打ち過ぎました。
何度聴いてもラストの「たった一つの」の後に残る余韻がたまらないです。
言ってしまわないところがバインならでは。


そして「夏の逆襲」
アルバムとは違う流れですが、これがまた素晴らしかった。
風の歌の空気がまだ残った中、静かに複雑な音が絡み合い、
それが徐々に盛り上がっていく様子に、目も耳も釘付け。
徐々にこみあげる高揚感が「真実を可能にするのは」のフレーズで一気に
開放される瞬間、思いっきり風が吹いたような心地良さを感じました。


そのまま「ランチェロ'58」「Neo Burlesque」と2曲。
こんな癖のある曲たちを普通にライブ中盤に持ってきてしまうバンドってバインぐらいだと思います。
大人の余裕的なものが漂っている…(笑)




また雰囲気がぐっと引き締まり、
何やら不規則な鍵盤の音が鳴り始め…。
徐々に曲の形が見えてきて、
それが「VIRUS」だとわかった時には、もう体中がぞわぞわしてました。
この曲音源でしか知らない人は是非ライブ来てこの凄まじさを体験してほしいです。
鳥肌立つって言葉がこれほどしっくりくる曲もなかなか無い気が。


最後にすっと音が消え去ると、長い沈黙。
それを破ったのはギターでもドラムでも鍵盤でもなく田中さんの声。
「Sanctuary」
伽藍堂の体に響き渡りますよはい。
音に揺られるままに体を任せて、ラストの「サンクチュアリから」の叫びにたどり着き、
ほっと一息…。かと思いきや、そのまま間髪いれず「GRAVEYARD」へ。
同じ曲の続きかと思うような繋ぎでした。この流れはもはや卑怯。


で、そのGRAVEYARDがまた物凄い。
「自分探しはまだ飽きないのかい 見つかるのはきっと樹海のコミュニティ」
から、何だか体が震えっぱなしでした。終盤のたたみかけるところとかもう…(ため息)



3曲続いた緊張感と、こみあげる熱気から一旦解き放たれ、場内盛大な拍手。
そしてその少し力の抜けた空気の中、
すっと聴き手の側を走り抜けるようなイントロが流れ出し、本編ラスト「真昼の子供たち」へ。


ライブの締めって、思いっきり盛り上がるか、感情の詰まった壮大な曲やるかって
パターンが多いと思うんですが、この曲はそのどちらとも全く違います。
にも関わらず、もう最後はこれしかない、と思えました。
このライブで演奏された全ての曲、全ての流れが、この曲を目指して進んでいたかのよう。
アンコールたっぷりありましたが、この日のライブはここでしっかり完結していた気がします。
本当に心地良いラストでした。





そんなわけで、本編のおまけ、アンコール。
着替え切れてないまま、半裸さらしたりしつつ
再登場したかと思うと、全方位に手合わせておじぎする田中さん。
6時開始のライブでまだ8時にもなっていないのに、
「終電大丈夫?」と妙にしつこく確認してたり、いろいろ笑えました。


で、そんな雰囲気の中に持ってきた曲が
アナザーワールド
何だこのジェットコースターみたいな感情の揺さぶり方は…
直前まで笑ってたのに、曲が終わるころには泣きそうな状態でした。


さらにさらに「超える」


今限界を超える
そのくらい言っていいか
描き出す世界
愛も欲望もさっきから図々しい
騒々しい


うあああ…もう何と言っていいのやら。
この人たちはもうしっかり超えて行ってるよ、と感じました。


最後は「もう一曲やらせてもらいます!」と
「R & Rニアラズ」
アンコールの締めにオリジナルアルバム未収録曲を持ってくるあたりが凄い(笑)
そしてそれでしっかり盛り上がってるファン達も凄い。
まさにバインのアンコール、といった締めくくりになりました。



セットリスト


1 .Silverado
2 .This town
3 .Suffer the child
4 .ミランダ (Miranda Warning)
5 .ピカロ
6 .Afterwards
7 .冥王星
8 .おそれ
9 .Dry November
10.411
11.風の歌
12.夏の逆襲 (Morning Light)
13.ランチェロ'58
14.Neo Burlesque
15.VIRUS
16.Sanctuary
17.GRAVEYARD
18.真昼の子供たち


en.1


19.アナザーワールド
20.超える
21.R & Rニアラズ



そんなわけで、バインというバンドの懐の深さを改めて思い知らされたライブでした。
メンバー、参加した人たち、お会いした人、スタッフの皆さん、いろんな人に感謝。
ありがとうございました。