かわるがわる僕等に降り注ぐあらゆる痛みを


・「きのうの世界」/恩田陸 読了

きのうの世界

きのうの世界


最後に消化不良感は多少あるけれど、
何度も何度も読み返したいと思わせる内容だった。
というか、一回通しで読んでそのまま、では多分理解できない内容。
読んでる間も何度もページを戻って行ったり来たりを繰り返したし、
さらに読み終わってからさらっと2周目もしたけれど、
まだちょっと疑問点があるので、現在3周目。
でも、多分全部理解しようとするべき話じゃないのかも、という気も。


謎だらけの「町」と、謎だらけの「彼ら」。
視点の切り替え方、特に「わたし」の使い方が凄く面白い。
話がややこしい上に文体もころころ変わって、
なおかつけっこう長い話なのに、一気に読めた。
自分までもが不可思議な空間に入り込んでしまうような、そんな小説。
人によってはこの曖昧さは嫌いかも知れない、
特にミステリ好きが謎解きに期待して読んだら微妙すぎる話だと思う。
けれど、この曖昧な世界観、個人的にはストライクだった。



・雨と夜


いろんな雨が降る。
冷たい雨。
洗い流す雨。
運んで行く雨。
流れを作り出す雨。


雨について思いを巡らすのは、
いつも部屋の中。
音として。記憶として。何かの象徴として。
それは、降っている時だけでなく、
1人で何かを考えている時に、ふと頭に浮かんでくる。


まるで夜みたいだ、と、思う。

行きたい世界はいつでも雨降りで
駆けだすのをためらって こころ砕け散る


Hello 君が笑うなら
雨の中に立って
”これはただの夕立ちだ”って笑い飛ばすよ


「rain parade」/古明地洋哉